10月の歌舞伎座、第三部を観劇してまいりました。
先日、第二部の仁左衛門さんに感動し、今月は2度目。三部の演目は『義経千本桜』より「渡海屋」「大物浦」。
今日のお目当ては、もちろん松緑さん❣️
平家の武将・平知盛を、どのように演じられるのか。
幕が開く前から、期待が高まります。
『渡海屋』――静かに秘めたるもの
物語は、源義経一行が船問屋の渡海屋に宿を求めるところから始まります。
店の主人・銀平。その正体は、壇ノ浦で滅びたはずの平家の武将、平知盛でした。
源氏への恨みを胸に秘め、義経を討つ機会をうかがう知盛。
表向きの姿と、その内側に燃える思い。
その二面性が明らかになるにつれ、物語は緊張感を増していきます。
何を語るかだけでなく、何を語らずにいるか。
その人物が胸の内に何を抱えているのか。
歌舞伎は、台詞だけではなく、目線や佇まい、身体の動き、その一つひとつから人物の心が伝わってくる芸能なのだと感じます。
『大物浦』――知盛の壮絶な最期
そして、いよいよ「大物浦」。
知盛の戦いは、あまりにも壮絶です。
平家への忠義、源氏への恨み、失われた一族への思い。
さまざまな感情を背負い、最後まで戦い抜く知盛。
松緑さんの演じる知盛からは、武将としての強さだけではなく、その内側にある苦悩や執念、そして覚悟が伝わってくるようでした。
特に、碇を身体に巻きつけ、海へと身を投げる最期。
その姿は、悲劇でありながら、歌舞伎ならではの様式美に満ちています。
ただ悲しいだけではない。
ただ勇ましいだけでもない。
ひとりの人間が、自らの運命と向き合い、すべてを背負って最期を迎える。
その姿に、心を揺さぶられました。
松緑さんのお芝居を観ていると、物語の中の人物が、遠い昔の人ではなく、確かにそこに生きている人として感じられます。
だからこそ、結末を知っていても心が動く。
何度でも観たくなるのかもしれません。
私は松緑さん、仁左衛門さんのファンですが、舞台を観るたびに、役者という仕事の奥深さを感じます。
長い年月をかけて磨かれた芸。
一瞬の表情や動きに込められたもの。
そして、舞台の上でしか生まれない、その時、その場限りの力。
同じ演目であっても、同じ舞台は二度とない。
だからこそ、劇場へ足を運び、生の舞台に触れることが、何よりの楽しみ!
松緑さんの平知盛を心に刻み、またひとつ、忘れられない舞台に出会うことができました。
やっぱり、歌舞伎は面白い。
そして、松緑さんのお芝居好き❤️